「精霊の守り人」 綾瀬はるか SPECIAL INTERVIEW

孤高の女用心棒・バルサ、再び! 上橋菜穂子が生み出した幻想的かつ壮大な世界観の物語を、見事なまでに映像化した、大河ファンタジー「精霊の守り人」の新シリーズ「悲しき破壊神」編(全9回)が、1月21日からNHK総合でスタートする。前作から4年の月日が経ったという設定の今作には、新しいキャストが数多く登場。ストーリーもさらに広く展開されていく。綾瀬はるか扮する主人公・バルサも、より精悍にして落ち着きのある女性へと成長。キレと激しさの増したアクションを見せてくれる。そんな新シリーズの見せ場や見どころを、語ってもらった。

キャッチ

Q:前作から4年後という設定で、バルサも声のトーンや雰囲気が落ち着いた印象を受けましたが、お芝居をどのように工夫されたのでしょうか?
4年の間にバルサも年齢を重ねるわけですけど、人を殺す状況に多々陥る用心棒という生き方に、どこかむなしさを覚え始めているんです。しかも、それでお金を稼いでいる。「これでいいのかな?」と疑問を抱いている時に出会ったのが、アスラ(鈴木梨央)という不思議な力を持つ少女で、バルサは彼女に「人を殺しちゃいけない」と諭すんです。でも、自分はアスラを守るために人の命を奪っていく。その矛盾を抱えることで、バルサは今まで以上に自分自身と向き合うようになっていくので、精神的な成長を意識して演じていました。たとえば、話す時にも相手にすぐ言葉を返すのではなくて、ちょっと間を空けてみたり。それから、たたずまいは映画「マッドマックス 怒りのデスロード」(2015)に出てくる(シャーリーズ・セロンをはじめとする)女性たちを参考にしてみました(笑)。
Q:原作者の上橋菜穂子さんが元々イメージしていた、世知に長けたバルサ像に近づいたような気もします。
そうかもしれません。シリーズがスタートした当初は、まだどことなく少年っぽさもあって。だんだんと母性だったり、大人の女性らしさが出てくるという描かれ方をしているので、そこは意識して演じています。でも、前シリーズでも感じたんですけど、バルサという役は本当に難しい。私が自分に甘いだけに、なおさらそう感じてしまって(笑)。そのくせ心配性なんです、私。アクションの練習も「これで大丈夫かな? もっと練習しないと不安だな」と思ってしまうことが多くて、結果的に気にならなくなるまで練習している、という…。負けず嫌いなので、練習の量だけは多いんですよね。
Q:長い期間一つの役を演じると、その役が一人歩きする感覚を味わう、と聞いたことがありますが、綾瀬さんはどうですか?
第2話(「罠」)のワンシーンで、タンダ(東出昌大)が「アスラにチャグム(板垣瑞生)の姿を重ねているんじゃないか」と言うんですけど、確かにそういったところはあるんですね。そもそも、弱っている人や困っている人を見過ごすことができない、正義感の強い人ではあるんですけど、演じている時って、あまりそういうことを気にしないんです。でも、第1回(「災いの子」)の試写を見ていて、タンダに言われた言葉の意味が分かった気がしたんです。無意識のうちにチャグムのように守るべき存在を求めてアスラを助けたのかな、と思ったりしました。そんなふうに、作品が完成してから気付くことが、私の場合は多いかもしれません。バルサとして目の前で起こることに反応しようと集中しているので…。

Q:そのアスラに、バルサはどんな思いを寄せていたのでしょうか?
親を殺されて国を追われた、かつての自分を重ねているところがあると思います。そして、自分が彼女を守る立場になって初めて、(吉川晃司の演じるバルサの師)ジグロに言われた言葉がより身に染みて、胸に刺さったという感覚がありますね。だからこそ、自分と同じような生き方をしてほしくないと強く願うのかもしれません。
Q:しかしアスラの持つ力は、真木よう子さんの演じるシハナという呪術師に目を付けられてしまいますね。
バルサは懸命に「殺しちゃいけない!」とアスラに言うんですけど、シハナは「やりなさい!」ってあおり続けるんですよ。その負のオーラと圧がすごくて、芝居を超えて場を闇に塗り替えるような感覚を覚えました。
Q:真木さんとの共演はいかがでしたか?
バルサとシハナが対峙する役ということもあって、撮影中はあまりお話していないんです。何より、真木さんとは殺陣のシーンが多かったので、まずケガをさせてはいけないという意識があって、常に緊張感をもって芝居に臨んでいました。なので、日常会話よりも「大丈夫でした? 短槍が当たりませんでしたか?」といった感じのことを多く話していて。今回は役が役だったので難しかったですけど、次に共演する時はもっと他愛のないお話もしたいですね(笑)。
Q:チャグムも4年で成長して、小林颯さんから板垣瑞生さんにバトンタッチしましたが、青年・チャグムの印象は?
「あっ、大きくなった」って思いました(笑)。チャグムが成長した姿を見るのは、バルサからすると本当にうれしいことなんです。彼はバルサの中の母性を呼び起こした、かけがえのない存在なので…。離れていても、いつもお互いを思って、心配し無事を祈っている──息子ではないんですけど、わが子のようにも思っているんですね。そんな板垣くんのチャグムは、すごく真っすぐで、情熱的で…涙もろくて、いつも一生懸命で全力な感じが伝わってきて、一緒にいてとても心地よかったです。
Q:また、鈴木亮平さんの演じるヒュウゴという密偵も新たに登場しますが、バルサの目に、彼はどう映っているのでしょうか?
最初は「なんだろう、この人は」という印象でした。あまり詳しく話すとネタバレになってしまうので難しいのですが、たぶんヒュウゴにも密偵以外の真の目的があって、全ての行動はそこに通じているんだろうなと思うんです。そういう彼の生き方を、バルサは理解しているというか…認めているような気はしますね。一匹狼的なところも似ていますし。ただ、亮平さんが私の…というか、バルサのしゃべり方をマネするんですよ、現場で! なんだか悔しいので、私もヒュウゴのモノマネをしようと思っています(笑)。
Q:どこかで披露していただくことを期待しています(笑)。では、最後に視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。
わっ、どうしよう! こういう時に、どういうふうに話せば「面白そう!」と思ってもらえるのかな、うまく言えるのかなって、いつも考えてしまって…。あっ、そうだ…まず、今シリーズもすごくキャストが豪華ですし、映画にも負けないくらいのスケールが大きくて、異世界の物語ですけど、国と国のいさかいに振り回されてしまう人たちに感情移入したり、メイクや衣装で普段とは全く違う姿になっている役者さんもいますので、そういった“変身”を楽しんでいただくのもいいかもしれません。う~ん、言いたいことはたくさんあるんですけれど、まとめきれない(笑)! それくらい、見どころが多くて、見応えがあるドラマになっていると思います。

取材・文=平田真人
記事提供=東京ニュース通信社